旋盤とCNCフライス~その5~

Arduino UNO(Grbl)とORIGINALMIND製BlackⅡ1520(TRIO)を接続する為の基板を切削したいのですが、その前に基板切削用刃物を BlackⅡのスピンドルに 取付ける必要があります。
刃物は前CNCの時からORIGINALMIND製の土佐昌典VCを使用していますが、この刃物の軸は3.175mmで、現在の4mmと6mmのチャックには取付けられません。

4mm用と6mm用のチャック

そこで鉄棒を削って3.175mmのチャックを作ってみましたが・・・

刃物を付けて木材に先端を軽く当てながら回してみると、木材が微妙に上下してしまいます。ブレているのです。

もう一度削りなおすのも大変なので現有の4mmのチャックに取付ける変換アダプタ的なものを真鍮で作ってみました。

今度は殆どブレがありません。が、よく考えると穴あけに使うドリルは軸径が2.34mmなのでこっちはどうしましょう?

最近ダイソーで見かけなくなった0.8mmのドリル。
ストレートシャンクだとチャックが滑る事があるのですが、こちらは軸が2.34mmと太くなっているのがいいのです。

結局今まで木製CNCでも使っていたミニルーター用のマウントを3Dプリントして取付ける事にしました。

製作する基板の回路図はこれ。殆ど配線だけで電気的に何かする部品はプルアップ抵抗ぐらいです。しかも当面必要な部品だけ取付けており、ほぼコネクタ類だけです。

実際に切削する前にハイトマップを作ります。単線の切れっ端をセンサー代りにしてワニ口でArduinoのA5端子に接続し、基板の銅箔はGNDに落とします。そしてGrblコントロールソフトCandleの右ペインにある”heightmap”メニューから”Create”を押し、諸々のパラメータを入力後「Probe」ボタンを押すと指定ポイントの高さ測定を順次実施していきます。

ではいよいよ切削開始・・・

そして組立て完了。
XHコネクタが2本あるのは非常停止スイッチとZプローブ用。その他後で接続したくなる事を考えて色々と取付けパターンを設けています。 

ところで非常停止スイッチの保有がありません。そこで旋盤についているこれをヒントに・・・

マイクロスイッチで作ってみました。
普段はこの状態で・・・

スイッチを押されるとラッチがかかって押し込んだままになります。解除する時は横のレバーを押し下げます。
本当はGrblの動作だと一瞬押されればその後放しても停止状態を維持するのですが、まあそこは気分の問題です。

2.5mm厚MDFをレーザーカットしたケースに基板をケースに収め、非常停止スイッチはこのケースに取付けました。USBコネクタの横に2.5Φのプラグが刺さっているのはZプローブの配線をここから取り出す為です。

最終的にはこんな感じで納まりました。

今までのCNCは・・・良く働いてくれましたが引退ですかねー。

お疲れ様。

旋盤とCNCフライス~その4~

引き続き、頂き物のCNCを稼働させようとしています。
前回は古いPC上で動くLinuxCNCを使って試験動作をしてみました。
このPCは随分前にメインPCとして使っていたPentium4-2.8GHz搭載のマザーが載っており、基板切削CNCやレーザー加工機の制御に現役で稼働しています。この頃のPCは普通にパラレルポートが付いていたのでLinuxCNCでの使用に問題はありません。

このPCの後にメインとして使ったのはCore-i5のマザーボードでした。このボードのパラレルポートは直接背面には出てはいないのですが、ボード上にピンヘッダがあり、ケーブルを挿す事で使用できます。本来ならこのボードが現役を退いた後にCNC制御マシンにしたかったのですが、以前このブログにも書いた通りコイツは壊れてしまいました。

CNC制御にはMach3/4やGrblも候補に上がりますが、費用や慣れの問題もあるので、やっぱりLinuxCNCで行きたいと考えました。という事で、HARD OFFで物色するとPentium4 3GHzのPCが¥2900で売られていたので購入しました。

P4-3GHz
HARD OFFで購入。なかなか絶妙な値段です。

LinuxCNCはバージョン2.7のLiveCDからインストールしました。なおLinuxCNCにはそのPCが向いているかどうかの指標としてレイテンシ・テストがあります。LinuxCNCはステッパーの回転パルスをリアルタイムに生成する為、一定間隔で処理を実行する必要があるのですが、レイテンシが大きいと間に合わなくなるのです。LinuxCNC付属のレイテンシ・テストを実行するとMAXジッターという値が表示されます。ドキュメントによるとこの値が50μSあたりまでならまあまあ良し、100μSを超えるマシンは制御には向かない様な事が書いてあります。
早速このPCで実行したところ直ぐに200μSを超えてしまいました。現用のPentium4-2.8GHzが最大でも55μS程度なので不安視していなかったのですが、ビデオカードを交換してみたりBIOSの設定を変えたりとやっても改善しません。

PC代¥2900円が無駄になるは悔しいので何とかしたいところです。そこで次善の策として考えてたのがこのPCでGrblのコントローラーを動かすという方法です。Grblならリアルタイムの部分はArduinoがやってくれるのでPC側はジッターを気にする必要がありません。BlackIIの制御基板(TRIO)にはサンケン電気のステッパードライバが載っておりこれは活用したいので、Arduino+CNCシールドではなく、ArduinoをTRIOにつないで制御してみたいと思います。
ステッピングモーターの制御信号がDIRとSTEPという基本は変わらないので何とかなると思っています。

そこで実験。

Grbl-TRIO

D-SUB25ピンのコネクタはジャンクのマザーから取り外した物です(なので紫色)。TRIOをイネーブル状態にする信号はSN74HC00を使った非安定マルチバイブレータでチャージポンプ信号を入れて動作させましたが、これではGrblが準備できたらONになるという本来の動きはできないので、最終的にはTRIOのJP1をオープンにする事で、単にLに下がればイネーブルとなる制御にしようと思います。

この段階で色々とマニュアルに記載が見当たらない細かいところも試してみました。以下ここまでで分かった事の備忘録

  • TRIOのSPINDLE入力はLが回転、Hが停止。
  • BlackIIのリミットスイッチ(フォトインタラプタ)は普段はLでセンサーをさえぎるとHになる。
  • ArduinoのA0ピン(GrblではReset/Abort端子。内部プルアップされている。)は動作中にLに落とすと動作がキャンセルされて停止する。続きの動作はできず、HOMINGからやり直す必要あり。たぶん非常停止に使える。
  • CNCシールドのE-STOP端子は回路図を辿るとArduinoのリセットに繋がっている。
  • A0端子で止めてもReset端子で止めても動作は変わらないように見える。
  • Arduinoの A1ピン(GrblではFeed Hold端子。内部プルアップされている。)はLに落とすとスピンドルは回ったままステッピングモーターだけが停止する。コントロールソフト(Candleを使用)のステータスにはHOLDと表示され、Pauseボタンを押すと動作が再開する。
  • ArduinoのA2ピンはGrblではCycleStart/Resume端子であるが、これをLに落としても特に何事も起こらなかった。この用途は何でしょう?
  • ArduinoのA5ピン( GrblではZ-probe/Heightmap)もプルアップされていて、高さ検出の際にこれがLになったら刃物がワークに接触したと認識する。
  • Z-probeはCandle右上ボタン群の下向き矢印みたいなボタンを押すと始まる。
  • Height-mapはCandle右部分のheightmapメニューからCreateを押すと採取用設定が現れる。
  • TRIOにはEMG信号という出力があり、スピンドルに過電流が流れたりするとL→Hに変化する。

一番上の 「TRIOのSPINDLE制御入力はLだと回転」というのがGrblの標準とは異なるのでconfig.hの下の行のコメント記号を外しました。

< // #define INVERT_SPINDLE_ENABLE_PIN
---
> #define INVERT_SPINDLE_ENABLE_PIN

またスピンドルの回転数をPWMで制御する事はTRIOのマニュアルを見る限り書かれておらず、当面はON/OFFだけで実行します。この為以下をコメントアウト。

< #define VARIABLE_SPINDLE
---
> // #define VARIABLE_SPINDLE

なおこのコメントをを外すとGrblは旧版との互換性の為、スピンドルイネーブル端子とZ-LIMIT端子の機能が入替わる(HかLかを切り替えるだけでなく、端子の割り当てまで一緒に変更してしまう)。入替わる前提で使ってもいいが将来的な互換性を考えると端子割り当ては標準のままにしたかったので、cpu_map.hの以下を変更しました。

   68c68,69
   <     #define Z_LIMIT_BIT    3
   ---
   >     //#define Z_LIMIT_BIT    3
   >     #define Z_LIMIT_BIT          4
   87c88,89
   <     #define SPINDLE_ENABLE_BIT    4 
  ---
   >     // #define SPINDLE_ENABLE_BIT    4
   >     #define SPINDLE_ENABLE_BIT    3

ところでGrblのヘッダ類を書き換える場合は~/Arduino/libraries/grblの下にあるファイルを変更しなければなりません。最初普通に~/Arduino/grbl-master下のファイルを変更してコンパイルしても変更が反映されなかったので要注意です。

次に非常停止をスイッチをどうするか、以下を候補に考えています。

  • ArduinoのReset端子をLに下げる。
  • ArduinoのA0端子(Reset/Abort)をLに下げる。
  • TRIOのイネーブル信号(チャージポンプ又はH/L)を使ってOFFにする。

なお非常停止は極力ノーマリONのスイッチにすべきです。ノーマリOFFを使ってしまうと接点が劣化していた場合に非常停止を押しても止まらないという事態が予想されます。Grbl標準はReset端子を使うにしてもA0端子を使うにしてもノーマリOFFが標準なのでA0端子の機能を逆転させる事にします。

もう一つ、TRIOからEMG(エマージェンシー)信号というのが出てきます。これはスピンドルモーターに過電流が流れた場合等にHになる信号なので、何とかGrblに伝えたいと思います。

という事でTRIOのEMG信号と非常停止スイッチを両方生かす為、次の様に配線する事にしました。Grblの設定でA0信号はHとLの意味を反転させ、正常時がL、異常時がHと認識する様に変更しています。
これでTRIOから出るEMG信号も非常停止スイッチも反映させる事ができます。

なおA0信号のHとLの意味を反転させるにはconfig.hに以下を追加します。

> #define INVERT_CONTROL_PIN_MASK ((1<<CONTROL_RESET_BIT))

以上で回路が決まりました。次に基板を作っていくのですが、折角なのでこのCNCを用いて基板を切削してみようと思っています。その為にはスピンドルに基板切削用刃物を取付ける方法を考えねばなりません。
・・・という事で次に続きます。

旋盤とCNCフライス~その3~

ぽんさんに頂いた旋盤に続きCNCフライスも稼働させたいと思います。
このCNCはスピンドルの横に1Wのレーザーが取付けられていますが安全のため一旦取り外していずれ活用したいと思います。

ORIGINALMIND製BLACKⅡ1520

コントローラーはORIGINALMIND製のTRIOが筐体の下に収まっています。
TRIOはORIGINALMIND社のWebページで見かけますが実物を見るのは初めてです。ステッピングモーターのドライバには昔欲しかったけど手に入らなかったサンケンのSLA7078が載っています。

基本的にTRIOはPCのパラレルポート(プリンターポート)から接続しますが、最近のPCにはパラレルポートはありません。そこで USBからパラレルに変換する為のCNCdrive製UC100も一緒に頂きました。
因みにCNCをコントロールする場合、USBからパラレルポートに変換するアダプタとして普通に売られている物ではうまく動きません。USBは大量のデーターを送るには優れていますがリアルタイム性は今一つなのでモーター駆動パルスのタイミングが間に合わないのです。しかしこのUC100というインターフェースは内部にDSPを備えておりタイミング精度が必要な処理は内部で行ってしまうそうです。但しMach専用でLinxCNCは対象外です。

Machは基板切削CNCを作成した当初、お試し版( NCコードの行数制限あり )を使用しましたがそれ以降使っていません。
最終的にどうするか未定ですが、まずは使い慣れたLinuxCNCで(古いPCのパラレルポートで)動作を確認してみる事にします。

・・・と簡単に考えていたらハマりました。原因はTRIOに入れるイネーブル信号という物。当初マニュアル無しで動かそうとしていたのでORIGINALMIND社のピンアサイン表にあったM-ENBという信号がイネーブル信号であろうという事までは検討がついたのですが、単にHかLを入れてやればいいものだろうと思っていました。ところが全く動作しないので色々調べてみるとH/Lを繰り返す矩形波を入れ続ける必要があったのです。HかLだとPCの電源投入直後にたまたまそのレベルが出て不用意な動作をしてしまう危険があるので「たまたま」では出てこない信号を入れてやる事がPC側が準備できた証という訳です。
なおこの信号はチャージポンプと言うそうです。 LinuxCNCのマニュアルにもチャージポンプの事が書かれていましたが関係ないものかと思っていました(だってチャージポンプっていったらデバイス内で電圧を2倍とかに上げてFLASHの書込み電圧などを作るやつを思い浮かべますもん。それがLinuxCNCで要る理由は思い浮かびませんが。)
という事でLinuxCNCから「チャージポンプ」信号を出してTRIOのM-ENB入力(17pin)に入れてやる事で動作し始めました。

後日ぽんさんにTRIOのマニュアルを見せて頂き、TRIOは5~10KHzの信号をイネーブルと判断するという事が判りました(実際にLinuxCNCから何KHzが出ているのかは確かめていませんが)。
また基板上のジャンパー1をオープンにする事で単にLを入れるとイネーブルになる方式にも変更できる様です。

ここまででステッピングモーターは動作する様になったのですが、スピンドルを駆動するプーリーベルトが切れてしまいました。

とりあえずハンズマンで買ってきたOリング( 若干太いのが気になりますが )で代用します。

モーター側は良いのですが、Oリングが太いのでスピンドル軸側のプーリー溝には完全には嵌っていません。

ちょっといい加減なところもありますが動作し始めたので適当なデータで木を削ってみます。

切り口がササクレましたが削れています。ササクレは条件を詰めれば良くなると思います。

まずは最低限の動作が確認できました。

この後ですが・・・現在LinuxCNCを動かしているマシンはレーザー加工機と基板切削CNCを受け持っており、新しいCNCを設置したい場所とは部屋の反対側になってケーブルが届きません。基板切削CNCを撤去して代りに今回のBlackⅡ1520を置くというのもアリかと思いますが、まだ基板を削れる状態にはなっていないのです(スピンドルが基板切削用刃物のサイズに合っていないのをどうするか・・)。
コントローラもLinuxCNCで行くか、Machにするか、またはGrblにしてしまうか思案中です。