BRAVO BST12修理 その2

前回の投稿から4年も過ぎてしまいましたが、まだBST12を捨てずに置いていました。今回ぽんさんから旋盤を頂き、修理できる環境が整ったので久々にトライします。

では改めて・・・BST12とはゴムボートに空気を入れる電動ポンプです。本来の動きではBST12からゴムボートにホースを繋ぎ、スイッチを入れると最初はブロアで空気を送り込んで、ある程度空気が入って圧力が上がってくるとコンプレッサーモードに切替わり更に空気を送り込みます。そしてダイヤルで設定した圧力に達するとコンプレッサーが停止して完了となります。圧力に応じブロアーとコンプレッサーを使い分ける事で充填速度と圧力を両立させている訳です。しかしこの故障したBST12は最初からコンプレッサーモードで動作しブロアーモードをスキップしてしまうという症状でした。

配線をイジってブロアーモータに直接12Vを繋いだところ、ガチャガチャという異音と共にぎこちなく回転しました。どうやらモーターが怪しいです。モーターの空気取り入れ口から中を覗くと整流子の電極部分がハガレている様に見えます。

BST12_2_1
整流子の電極が剥がれている様に見える。

モーターの裏ブタを開けてみると・・・やっぱり。

BST12_2_2
やっぱり剥がれていました。

ダメ元で修理を試みましたが直ぐに剥がれてしまうので、これを直すのは諦めてモーターを交換しようと思います。このモーターは550サイズで12Vで動作する必要がありますが、簡単に(安く)入手できるのが無かったので日本橋のデジットで購入した7.4Vの物を使う事にします 。

12V電源で7.4Vのモーターを駆動する為、タイマー555で2/3デューティーのPWMを作って降圧しました) 。

BST12_2_3
降圧回路


ところでモーターとファンの接続は写真の様な金具で接続しています。

BST12_2_4
白いのがファンです。

この円錐と六角を組合わせた様なパーツを新しいモーターに付け替える必要がありますが、これがモーターから外れません。手持ちのギヤプーラーでは全く歯が立たず、冷やしたり温めたりしてもダメで、最後の手段としてモーターの軸をドリルで潰そうとしても歯が立ちませんでした(なんかモーターの軸ってメチャ硬いんですね)。

ダメ元で3Dプリントパーツでも試してみました。3Dプリントで拳銃が作れるくらいなら軸受けぐらいできるかもしれません。

BST12_2_5
ABSで出力した軸受けで試運転

が、やっぱり一撃でダメになり空回りを始めました。

・・・という訳で、ここで途方に暮れて年数が過ぎた訳です。

そして2018年、旋盤という強い味方があります。初めての旋盤工作としてこの軸受けを作ってみたいと思います。オリジナルの軸受けはステンレスっぽいですが、これは初心者には難しそうなので真鍮でやってみます。

材料はこれ。いつだか忘れましたが東急ハンズでこの日の為に買っておいた真鍮の丸棒。

BST12_2_6


まずは旋盤のチャックに挟みますが、芯のブレが極力少なくなる様、ダイヤルゲージで見ながら取付けます。ダイヤルゲージはCNCの調整用に前から持っていましたが、マグネット基台はアストロプロダクツで 急遽購入です。

BST12_2_7


ドリルで真ん中の穴を空けます。

BST12_2_8


そして六角形の部分は後で六角形にするとして、まずは六角形の外周サイズになるまで全体を削ります。

BST12_2_9
おお、旋盤らしい作業。真鍮が削れてピカピカに輝きます。


テーパーの部分はここの目盛りを1.5°に合わせて削りました。

BST12_2_10


最後に突っ切りバイトで母材から切り離した結果がこれ。

BST12_2_11

突っ切りバイトが穴まで届く直前に母材から離れてしまった様で中心部分が少し残ってしまいました。ヤスリで除去します。

後は六角形の部分をひたすらヤスリで削って出来上がったのがこれ。
このパーツを自作できたと思うと感動です。

BST12_2_12
完成!!


モーターの軸に圧入する為、穴径を微調整します。これにはこのビットで広げるとちょうど良いサイズになり、カナヅチで軽く叩いて圧入しました。

BST12_2_13
いつだかカホパーツで安く買った回転ビットセット内の1本


そしてブロアのケースに取付け。

BST12_2_14

ファンも取付け。

BST12_2_14


元の形に収めます。

BST12_2_15


モーターが7.4Vな為に追加したPWM回路は結束バンドで固定しました。

BST12_2_16


動作確認したので 動画にしてみました。 。スタートするとブロアーが動作し、吐出口を塞ぐ事で圧力が上がってコンプレッサーモードに移行します。


あとは久々にケースをねじ止めして完成です。

BST12_2_17


何年も放り出していたポンプですが、やっと修理できました。
旋盤を使える環境になった事で色々と対応できる幅が広がったと思います。
ポンさんに感謝です。

10 thoughts on “BRAVO BST12修理 その2

  1. 清水

    はじめまして エソ祭り実行委員会
    エソ釣りをこよなく愛する釣り師です
    私もモーターが不良となり、低圧は他のブロア使っています
    やはり、軸から抜き取ることができなくて
    12Vのモーターも探せず諦めています
    しかし、パーツ削り出してしまうなんて凄いですね
    器用なのに感心しました✨

    Reply
    1. ほいほい堂本舗

      清水さん、こんにちは。
      12Vのモーターがなかなか無いですよね。仕方なく降圧して7.4Vのモーターを使っていますが、その後問題なく動いていますよ。
      またパーツの削り出しは私も初めてでした。いつか旋盤を入手したら一番にやってみようと思っていたところに卓上旋盤を頂いたので、旋盤の解説本片手に汗かきながらやりました。
      ところでエソって小骨が多くて失礼ながら外道のイメージですが、どういうところに魅力があるのでしょうか?

      Reply
  2. 銀聖

    初めましてm(__)m
    自分のも全く同じ壊れかたをしまして、なんとか修理出来ないものかと調べていたらこのブログに辿りつきました。
    幸いモーターの先端の六角円錐のパーツは抜く事ができました。
    で、参考までに教えて頂きたいのですが、
    楽天で見つけたのですが、この仕様のモーターが適応するのでしょうか?↓
    製品名:DCモーター;モデル:JGB37-550;定格電圧:DC 12V
    モータ無負荷速度:11000 RPM;ターミナル数:2
    軸径:3mm;シャフト長さ:12mm
    合計サイズ:78x37mm;材質:金属、マグネット
    わかる範囲で構いませんのでアドバイス頂ければ思います。
    宜しくお願い致します。

    Reply
    1. ほいほい堂本舗

      銀聖さん、こんにちは。
      あの六角円錐パーツ、抜けるものなんですね。どうやって抜かれたのでしょう?
      ところでモーターについて、私も詳しくないのですが記載されている物は微妙にサイズが違う気がします。特に軸径は元のモーターを測ると3.17mmなので3mmのモーターを使うと六角円錐パーツがユルユルになりそうです。
      型番からは550サイズっぽいのですが・・・何か違いそうですね。
      まあ私のポンプとは違う可能性もあるので、一度壊れたモーターのサイズを測ってみられると安心か思います。
      その他、回転数等はよくわからないながらも手元のRS-540SH(これは550ではなく540です)の諸元表を見ると無負荷で15800RPMなので11000RPMは遅い気がします。ブロアーなので速めが良さそうですがどれくらいが適正かは正直解りません(すみません、このあたり無責任に言っています)。

      Reply
      1. 銀聖

        こんにちは。
        早速の返信ありがとうございますm(__)m
        流石お詳しいですね
        ご指摘通り回転数が足りない感じがしますね(^^;

        非常に厚かましいのですが、こちらだと回転数とシャフトの太さ(3.17だとコメントしている人がいる)共に適合しそうだと思いましたがどう思いますか?
        https://www.amazon.co.jp/dp/B07BFT2TLX/ref=cm_sw_r_cp_apa_fabt1_hWXTFbZ3BPT6P?_encoding=UTF8&psc=1
        何度も大変恐縮ですがアドバイス頂ければと思います。宜しくお願い致しますm(__)m

        Reply
        1. ほいほい堂本舗

          銀聖さん、こんにちは。
          リンクのモーター、正直よくわからないです。
          軸サイズは3.17mmなら問題ないと思います。
          わからないのは仕様に書かれている0.07Wが妙に小さいのと定格電流4.5Aが無負荷なのか適正負荷なのか、また定格電圧が12~24Vの幅に対して回転数22000RPMが何ボルトの値なのか(電圧が2倍の範囲があるので回転数も同じ程度の範囲がある筈)・・・・
          とか考えていたら訳が分からなくなってきました。
          Amazonに表示される他のモーターも見てみましたがどれもあまり詳しく書かれてないんですよね、取り合えずやってみて、もしダメなら次を探すという感じなら試す価値ありだと思います。
          すみません、私もよくわかっていないのでこんな感じでしか答えられないのです。

          Reply
          1. 銀聖

            返信ありがとうございます。
            言われてみると確かにおかしい点が多々ありますね……
            自分全く詳しくないのでモーターには規格があって550なら合うものなのかと思っていましたが、そうではないようですね。結果ダメ元で試す事になりそうですね(^^;
            大変参考になりました。ありがとうございます。

  3. 大島誠

    初めまして、大島と申します。私もBRABOの故障(症状はカチっと音がして動きません、開けて見たら、電磁石の片方が動きませんでした。手動で接地させると動きます)
    修理は出来るでしょうか?部品はあるのでしょうか?
    突然の訪問で失礼だと思いましたが、お知恵をお貸しくださいませ。

    Reply
    1. ほいほい堂本舗

      大島さん、こんにちは。

      この電磁石(リレーですね)はあまり見たことのないタイプなので、全く同じものを入手するのは難しいと思いますが、12Vである程度の電流を流せればよいので、他の型番の機能的には同様の物が使えると思います(外形が異なるので空中配線になるかもしれませんが)。

      で、故障個所について、書いて頂いた内容だけではハッキリしませんがなんとなくリレーの故障ではない可能性もあるんじゃないかと思っています。

      リレーは2個付いていて、便宜的にモーターの横についている方をRL1、空気出口のパイプ横のをRL2とすると・・・
       1.最初にカチッというのがどちのリレーか?
       2.手動で接点を動かすとモーターが回るのはどちらのリレーか?
       3.この時回るモーターはどちらか(ブロアー側かコンプレッサー側か)?
      ・・・あたりが分かるともう少し見えてきそうな気がしています。

      Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *


*