スクーター Dioチェスタ(AF34) のバッテリーがリークする

息子が古くてボロいスクーターを先輩から(ほぼタダで)買ってきました。
その先輩も誰かから貰ってかなり長い間放置していた様で、各所が錆びていたりマフラーに土蜂が巣を作っていたり、まあポンコツですが、単にイジりたいだけで買ってきたみたいです。

で、色々修理したり悪いパーツを交換して走れる様になり完成かと思ったのですが、新品バッテリーなのに数日止めておくと上がってしまうという問題が見つかりました。
充電はできており暫く走るとセルモーターを回せるだけの電力が溜まるのですが、数日乗らずに止めておくと上がってしまうのです。

なんかリークしているっぽいですね。

そこでキーOFF状態でのバッテリー電流を測ると14mAも流れています
バッテリー容量は3Ahなので単純計算だと9日間で空となる(実際にはもっと早くダメになるでしょう)のはちょっと流れ過ぎですね。

という事で調べていく

そもそもキーOFFなのにどこに流れているんだ?

サービスマニュアルや回路図を持っていないので、とりあえずキースイッチの周りを見ると下の写真の様に3本の配線が出ています。
(あとで気付くのですが、この配線に問題がありました。)

なおネットの情報によると、このDioチェスタというスクーターは初期の2ストローク時代と後期の4ストローク時代があり、今回のは2ストロークエンジンを積んだAF34型です。そしてAF34の中でもマイナーチェンジがされており、キーシリンダーから出ている配線が2本の物もある様ですが、今回のは3本のタイプです。

キースイッチを開けてみるとツェナーダイオードらしき部品が入っていました。”4″と書かれているので恐らく4Vのツェナーらしいですが、何のため?

判らなくなってきたのでキースイッチ回りの配線を図にしてみました。
(現物からテスターで辿った結果なので間違いがあるかもしれません。また発電コイル回りは他の機種の回路図を元に推定して書いた部分もあります。あとこのCDIは5ピンですが世の中には同じAF34でも4ピンタイプのCDIもある様です。)

しかし色々と謎があります。

・キーOFF時のピンク線には12Vが加わっている。
 OFFなのにCDIに12Vが入りっぱなしというのに違和感があります。

・キースイッチ内部の4Vツェナーダイオード
 何これ?

その他(なかなかバイクの電気系は興味深いのです)・・・

・CDIは直流12Vで動作する通称「バッテリー式」です。
 CDI内で昇圧し瞬間的にイグニッションコイルに電流を流します。
・灯火類は交流のまま使用する、古いカブ等と同様の方式です。
 この方式では電圧が上がりすぎない様にレギュレートレクチファイヤで過電圧を防いでいるのですが、電球とは並列にレギュレータが入っているんですね。という事はレギュレータにガバッと電流を流して電圧を下げるシャント方式なんでしょうか?

ツェナーの働き考察

キーONの時、12V電源はキースイッチ内のツェナーダイオードを経由してCDIのピンク線に繋がります。ピンク線はこの時約8Vになっていました(ツェナーで4V落としている)。
これはどうやら「直結防止」が目的みたいです。このCDIはピンク線が8V前後の時だけ動作する様になっているらしく、ピンク線に12Vを加えてもエンジンは掛からず、またピンク線を開放しても掛かりません。これによりバイク泥棒が電源とピンク線の間を直結してもエンジンは掛からない仕組みになっている様です。
・・・という事でこの部分はキーOFF時のリークとは直接関係なさそうです。

リーク原因調査

そして問題のキーOFF時のリークですが、12Vが印可されたピンク線からCDIに向かって14.5mAの電流が流れていました。
ではこのCDIに入った電流はどこから流れ出すのでしょう?CDIの各端子を測ると以下の通りで、赤黒線が主な出口となっている様です(GNDからも僅かに流れ出していますが)。

配線色機能電流(CDIに入る向きを+)
赤黒12V電源-13.5mA
ピンクON/OFF+14.5mA
青白タイミング0mA
黄黒スパークコイル0mA
GND-0.7mA
リーク電流はピンク線から入って赤黒線から流れ出している。

と、ここまで判ったけど、なぜ赤黒線から流れ出すのかが判りません。ならばと赤黒線とCDIの間にダイオードを入れて逆流を阻止してみたところ、当然ながら赤黒線への流れは止まりましたが、今度はGND端子から6.9mA流れ出す様になりました。(リークは半分にはなるけど・・・まだ変。)

うーん。謎。
キーOFF時にピンク線に12Vを加えるならCDI内でリークを食い止めて欲しい気がしますね。
やっぱりCDIが壊れてリークしているのか?
悩んだ末、ヤフオクで同じ型のCDIを購入してみることにしました。

そして到着したCDIを取り付けると・・・やっぱり14.5mA流れています!!なんでー?

もう一度落ち着いて考える。

そもそもキーOFFの時にピンク線に12V加わっているのが不自然ですよね。キーOFF時に切り離していればリークの心配なんて無くなる筈。そういう風に改造しようかと考えて・・・ここでふと気づきました。そもそも現状の配線が正しい保証はないし何か配線が間違ってんじゃね?・・・と。

そういう目で見ると付属の鍵も純正っぽくないです。なに?JINKUNって。誰?

更にネットで他の車体の画像を見るとキースイッチのコネクタはこんな1本ずつギボシや平端子で接続するのではなく、3本纏めたコネクタが繋がっています。
やっぱり過去にここをイジられているみたいですね。その時に間違った配線をされた可能性があります。

「多分こうだろう」という現時点の結論

元々の配線が間違っている可能性も踏まえ、どうすれば正常に動作するかを考えた結果、キースイッチへの接続が現状とは逆に、下図の赤・青で描いた様に接続するのが正しいのだとしたら理屈が合います。
これならキーOFF時はスイッチ内で切り離されていてリークする事もないし、ONの時はCDIに12V電源及びツェナー経由の8Vも加わります。
また直結されてもツェナーを経由しないので盗難防止機能も正常です。


上記配線になる様、ギボシと平端子を繋ぎ変えてみると、キーOFF時のリークは無くなり、ON時の動作も正常となりました。

反省

ジャンク同然で買ってきたバイクの配線が正常であるという前提で考えたのが失敗でしたね。
無駄にCDIを買ってしまったけど、むしろサービスマニュアルを買うべきだったかも。

上の配線で本当に正しいのか、正規の回路図で答え合わせをしたいので回路図をお持ちの方、ぜひ教えてください。

しかしCDIとかレギュレートレクチファイヤーとか、なんだかバイクの電装系を調べるのが楽しくなってきました。。。

One thought on “スクーター Dioチェスタ(AF34) のバッテリーがリークする

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