新大州本田製のCBF125Tというバイク、昨年のロングツーリングで東北を走っていた頃からエンジンがガシャガシャといった音を出す様になっており、ずっと気になっていたので今回修理しました。
エンジン異音の症状
ガシャガシャ音とはおよそ次の様な症状です。
- アイドリングの時はあまり気にならない。
- 4~5000回転あたりからガリガリと鳴りだし、7000回転程度まで回すと納まる(他の音に消されて気にならないだけかも)。
- シフトアップの時に一瞬クラッチを切ってアクセルを緩めた瞬間、ガガッという大きな音がする。
確信はないのですがカムチェーンまわりが原因かなーと思います。
カムチェーンまわりを調べるなら左側クランクケースカバーを開ける必要があり、そうするとガスケットの交換が必要になる可能性大です。
できるだけガスケットを入手してからカバーを開けたいですよね。でもこのCBF125Tというバイク、中国製の為パーツリストやサービスマニュアルが手に入りません。
(別車種の)パーツリスト入手
という事で色々調べていたらホンダにはCRF125Fというバイクがあり、このエンジンがCBF125Tとソックリである事に気づきました。
見た感じではキックペダルの有無程度の違いしかなさそうです。
CRF125F
CBF125T
CRF125Fは公道走行不可なオフロードバイクですが、日本国内で販売されているのでパーツリストやサービスマニュアルは出回っています。
という事で早速ヤフオクでパーツリストを落札しました。
なおCRF125Fは年式毎に少しづつ変ってきており2019年以降だとCBF125T同様インジェクションになっています。なのでできれば最新のパーツリストが欲しい所ですが、安かった初代の物を入手しました。
このパーツリストによるとエンジン左側カバーのガスケットの部品番号は11395-KWS-900となっているのでこの型番で注文しました。
カムチェーンテンショナーのプッシュロッド清掃
ガスケット到着までの間にカムチェーンテンショナーのプッシュロッドを調べてみます。
プッシュロッドとは下図8番の部品で、クランクケース内で上下にスライドする様に取り付けられています。そしてプッシュロッド上側にある9番の樹脂パーツが3番のアームを押す事で4番のプーリーをカムチェーンに押し付けてチェーンにテンションを与えるのです。
なおプッシュロッドの中には下方向にのみエンジンオイルを通す逆止弁が入っており、この働きでプッシュロッドが一旦上に上がると下側には下がりにくい構造になっています。
このプッシュロッドの動きが悪いとカムチェーンにテンションを与えられないのでチェーンがどこかに擦れて異音の原因となるのです。
このプッシュロッドですが、本来はクランクケースカバーを開けなくても13番のボルトを外すとエンジンの下に落ちてくる構造なのですが、私のバイクは落ちてきません。針金で引っ掛けて抜こうとしましたが取り出せませんでした。
ここの動きが悪くなっているのが原因かもしれませんね・・・
プッシュロッドを抜き出せませんが、左側のクランクケースカバーを開ければ中から押し出せる筈です。ガスケットはまだ到着していませんが開けてみましょう。
・・・という事で開けました。
(先にジェネレーターから出ている配線を抜いておいた方が作業し易いです)
このフライホイールを外せばプッシュロッドやカムチェーンが見える筈。
その為にはまずナットを外しました(固かった・・・)。
そして息子が持っていたカブ用のフライホイールプーラーを持ってきたのですが形が合いません。
まず外側のおねじ/めねじがカブとは逆です。これは適合するプーラーを買うしかなさそうですね。
amazonにて外形30mm x ピッチ1.5mmのプーラーを購入。二日後に到着したのでフライホイールを外します(これまたメチャクチャ固かった)。
フライホイールが外せました。プッシュロッドの先が見えているので、ここを指で押せば下側に抜ける筈です。
プッシュロッドを下に押し出すとゴリッという感触と共に下の穴から落ちてきました。表面に金属カスみたいなのが付いていて滑りが悪くなっていた様です。掃除して動きが良くなったことを確認して組付け直しました。
異音の原因はこれだけかもしれませんがカムチェーンを押しているプーリーが摩耗しているのが見えているのでこれらも交換する事にします。再びCRF125Fのパーツリストからプーリー類とプッシュロッド先端の樹脂部品を注文しました。なおこの時点での走行距離は約2万5千Kmなのでカムチェーンまでは大丈夫かなとは思いましたが念のため一緒に注文しておきます。
その後、先に注文していたガスケットが到着しました。型番11395-KWS-900を指定して注文しましたが入着したのは11395-KWS-901。何か変更になっているんでしょうけど見た目ではわかりません。
なおこの時点でプーリー類とカムチェーンはまだ到着していません。ガスケットと同じ納期だとすると1週間ぐらい必要なので、その前に一旦組み立てて調子を見たいと思います。
・・・が、1枚しかないガスケットを使って破ってしまったら困ります。
という事で仮のガスケットを作ります。
純正ガスケットをスキャナーで読み込み、jw-cadに取り込んでサイズを合わせた上でなぞります。
このデーターをレーザー加工機に送ってカットしました。材料はガスケット(実測0.48mm)に近い厚みの画用紙を使用。
こういう厚紙でガスケットを作るのは昔から聞く方法ですが耐久性はどうなのかな?
今回のデータをjw-cadとdxf形式で上げておきます→ 11395-KWS-901.zip
そして一旦組み立て、オイルも入れて走ってみました。
かなり良くなっている感じ。でもまだシフト時のガガッというのは残っていますね。
やはりカムチェーン周りを交換しましょう。
カムチェーン周りのパーツ交換
そして数日後、部品が到着しました。プーリー類3個、プッシュロッドの先っちょ、そしてカムチェーン。
では交換していきます。
最初にエンジンオイルを抜きます。数日前に入れた新しいオイルが勿体ないので再利用できる様、オイル受け皿を綺麗に洗って乾かしておきました。抜いたオイルはフィルターで濾して保管しておきます。
あとは前回同様にばらしていき、カムチェーンとプーリー類を取り出しました。
まずカムチェーンの新旧比較。上側の白っぽい方が新品です。
これ、目で見る限り長さは全く変わっていませんね。やはり走行距離2万5千Kmだと大して伸びないんですね。でも折角買ったので新しい方を取り付けて古い方は保管しておきます。
そしてプーリーその1
右側が新品で左が使い古し。新品には中央の出っ張りみたいなのがありますが、使い古しの方にはなくなっています。これはどうなんでしょうね?サービスマニュアルがあれば使用限度とか書いてありそうですが。どちらにしても交換しておきます。
次、プーリーその2
使い古しはチェーンの形が刻み込まれてスプロケットみたいな形になっていますね。
そしてプーリーその3
これは激しく摩耗し金属部分が露出しています。
プーリーその3を違う角度から見た写真。
金属部分が露出というより殆ど金属だけですね。これがカムチェーンと擦れて異音がしていたんじゃないかな?そんな気がします。
最後にプッシュロッドの先っちょにある樹脂パーツ
使い古しにはアームに当たる部分に傷が入っています。これくらいは問題なさそうな気がしますが交換しておきます。
全て交換した写真・・・
今回は純正のガスケットを挟んでフタを閉めます。
因みに数日前に使った画用紙ガスケットは油漏れもせず、特に破れた様子もありませんでした。耐久性は分かりませんが短期間なら問題なさそうです。
全部元通りに組立て、先ほど抜いたオイルをフィルターで濾してまたエンジンに入れました(だって試しに100Kmほど走っただけなので勿体ないのです)。
走ってみる
そして乗ってみると・・・バッチリですね!!
異音は消えて快適に走れる様になっています。
今回購入した部品
最後に今回購入した部品一覧表を示しておきます(Rakuten市場のヒロチー商事というところで購入しました)。
カムチェーンは恐らく交換しなくても良かったと考えて、これを除くと¥3533円(送料別)ですね。
品名 | 部品番号 | 備考 | 購入価格 |
---|
ガスケット,L,クランクケースカバー | 11395-KWS-900 | ・・901が入着 | ¥795 |
チェン,カム(90L)(ダイドー) | 14401-KWB-601 | | ¥1,694 |
ヘッド カムチェーンテンショナーブッシュロッド | 14566-086-030 | | ¥164 |
ローラーCOMP, C,カムチェーンガイド | 14610-KYY-901 | | ¥957 |
ローラーCOMP,カムチェーンガイド | 14670-KYY-901 | | ¥935 |
ローラー,カムチェーンテンショナー | 14502-K28-911 | | ¥682 |
| | 合計 | ¥5,227 |