TIG溶接機 TIG 220P AC/DC を修理してみる。

息子がジモティーで見つけてきたTIG溶接機を買うというので、二人で運転を交代しながら3時間ほど車を走らせて引き取りに行きました。
機種は TIG 220P AC/DC。
中華製の少し古い溶接機ですがTIGモードとMMAモード(=手棒溶接)が使えます。

持ち帰って諸々の準備をしたのち電源を入れてみたところ、

MMAモード → 普通に動く
TIGモード → うんともすんとも言わない

という状態でした。
販売者は「自分は専ら手棒溶接で使っていた」と言っていたので、まあ確かにその通りなのですが、一応返品を申し出てみた・・・しかし結果はあっさり拒否。
という事で、修理にチャレンジしてみます。

症状を整理するとこんな感じ。

  • MMA(手棒溶接)モード
    7セグLEDに電流値表示あり
    アークも飛ぶ
    よって見た感じ正常そう
  • TIGモード
    7セグLEDにはスタート電流値のみ表示
    WELDING電流、BASE電流はダイヤルを回しても変化なし
    (これは異常なのか正しい動作かは正直よく分からない)
    トーチのスイッチを押してもアークが飛ばず、ガスも出ない(これが致命的)

こうなると一応ばらしてみるしかない。という事でフタを開けてみましたが、溶接機内部の全体像は写真を撮り忘れました。
構造は(想像混じりですが)ざっとこんな感じだと思います。

故障個所の特定

MMAモードでは正常っぽく動作するので、インバータ部、Hブリッジ部のあたりは生きていそう。
またMMAモードで電流値を変化させると表示基板に繋がる配線の電圧も一緒に変化しているので、表示基板から先も正常っぽいです。
となると怪しいのは制御基板ですね。基板を外して眺めてみましょう。

制御基板

  • 基板には14pinDIPのICが6個載っています。左から順に・・・
    LM324N  :オペアンプ
    CD4066BE :アナログスイッチ
    LM324N  :オペアンプ
    CD4081BE :ANDゲート
    CD4013BE :D-フリップフロップ
    CD40106BE :シュミットインバーター
  • 専用ICやマイコンは載っていないので「頑張れば直せる」可能性が上昇しました。
  • 基板上部のTO-220パッケージは12Vの3端子レギュレータで、ロジック系は概ね12V動作。
  • そこから9Vレギュレータを通して、電流設定用ボリューム等のアナログ系に供給している。

他にも抵抗やダイオードが沢山載っていて嫌になりそうです。

回路を追う

ぱっと見で分かるような異常は無いので地道に回路を追っていくしかなさそうですね。
いつもの様に「基板写真を撮る→裏面をPC上で反転→表裏を見比べながら回路図を書く」でやりますが、ICやボリュームの下の配線は見えないのでテスターで配線を当たる部分も多そうです。
なお基板は両面基板(二層基板)です。
いずれにしても全部を回路図にするのはあまりに大変なので動作的に怪しそうな所に絞って調査します。

基板の裏表(裏面は反転済)

特に調べたい箇所を書き出すとこんな感じ。。。

  • TIG / MMA 切替回路(X4まわり)
  • 各ボリュームの信号がどこへ行くか(特にRT5,6,7)
  • 7セグLED基板へ電流値を送っている部分(X7の2pin)
  • トーチのトリガーボタン信号の行き先(X2まわり)

そして書き出したのが下の図。
全体の1/2~2/3程度は書き出せたと思うが、間違いも多々あるはず。

安定化電源から電圧を入れてみる

ここまで来ると電源端子とか信号の流れもある程度見えてくるので安定化電源を用いて12Vレギュレータの入力に15V程度を印可し、各部の電圧と動作を確認します。

そこで明らかな異常を一つ発見→U4 の 1pin

本来、X2のトーチスイッチを押している間は12Ωのサーミスタを通してQ20のベースがほぼ0Vとなり、U4の1pinは L になるはずなのに、約7V 出ています。
Q20とU4のどちらが悪さしているかを確かめる為にQ20を外してみましたが、それでも7Vが加わっているのでU4から電圧が出てきている様ですね(入力端子なのに!)。
さらにU4を触ってみると、少し熱いです。

という事で、少なくともU4(CD40106BE)は壊れていると判断しました。
何か内部でショートしている気がします。

修理

他にも壊れている個所があるかもしれませんが、まずはU4を交換してみましょう。
CD40106Bを注文し、約1週間後に到着。今後を考えて ICソケットで装着しました。
(厚みが増してちょっとパネルに当たるけど気にしない)

動作確認

まずは先程と同様、安定化電源から電圧を加えてみます。
U4-1pin の電圧 → Q20が無いままの状態だと約0Vで正常ですね。
Q20もハンダ付けして問題なさそうなので、もう一度溶接機本体に組み付けてみましょう。

そして電源ON。
トーチスイッチON → ガスが出る。
アークもちゃんと飛ぶ。\(^O^)/

なお7セグLEDへのWELDING電流やBASE電流表示は、溶接動作中にそれぞれのタイミングで表示されていて、回路的に見ても多分これが正しい仕様なのだと思います。

パルスモードやPOST_TIME(終了後暫くガスを出す)機能もそれっぽく動作していますが、まあこの溶接機の本来の動作が全て把握できている訳ではないので使ってみて問題があれば、また調べましょう。

結果

今回の基板はマイコンや専用ICを使わず、全て汎用のオペアンプやロジックICで構成しているので、回路を追うのは大変でしたが部品は手に入りやすくて助かりました。

という事で無事TIG溶接ができるようになりました。
ACモードがあるのでアルミ溶接もやってみましたがそれっぽく溶接できています。
(溶接の腕はもっと磨く必要がありますが)

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